ぴたぱんの備忘録

物語と人が好き。本とか映画とかドラマとかゲーム実況とか漫画とかアニメとか。触れた直後の想いを残しときます。

これまで法学部で学んだこと Part1

これまでに単位をとった(のと今期単位を取る予定の)20科目66単位について、ひとことずつまとめます。せっかく(付け焼き刃で)勉強した知識も、すぐに忘れてしまうから。備忘録として。

 

法曹養成コースから政治コースに転類していることや長期間休学などしていたこともあり、履修がやや特殊です

 

Part1では、

法曹養成コースでとった単位→憲法民法第1部、刑法第1部、政治学、ゼミ(英米刑事法、法教育)、民基礎

政治コースでとった単位→日本政治、日本政治外交史、行政法第1部

の10科目36単位について書きます。

Part2では、

政治コースでとった単位→民法第4部、会計学、ゼミ(科学技術行政)、リサぺ、アジア政治外交史、法哲学、現代政治理論、経済学基礎、行政学、情報法

の10科目30単位について書きます。

 

↓ここからスタート

憲法(6単位) by 憲法学の鬼才

モチベ:思想好きマンなので、他の実定法よりは抽象論が多いので楽しい 定義説明をメタファーで行うのはやめてほしい この人の講義で「面白い」と勘違いして法学部に進むことを決めてしまった(激しい後悔)

内容:詩的な文章とメタファーの多用で綴られる、無軌道講義。もはや憲法学ではなく国法学である。「講義とは本来転調に転調を重ねるべきものであり…」「すぐそばに恋人がいるとしてそこで法学の眼鏡をかけるとその愛しい人の姿は見えなくてそこにあるのは法人格というのっぺらぼうな、何も魅力がない人が見える。」

芦部憲法はもはや古典になりつつあるとして批判を加えつつ自由奔放に講義を展開していた。自分の受けた年は統治機構→人権だった

学び:予備校で学んだ、判例通説の暗記、違憲審査基準や規範の機械的なあてはめ、が「学問」でもなければ「最新」でも全くないことを強く痛感した講義だった。国際比較と歴史的経緯を追う、という法学部講義の基本スタイルに慣れることができた。違憲審査基準、比例原則、公共圏あたりの議論が今でも印象に残っている。

 

民法第1部(4単位)by kmakr

モチベ:ない。必修だからやらざるを得なかった。若くして准教授になっているガチプロの雰囲気を知れたのはよかった(非人間的だった)(一部から与沢翼に似てると言われててウケた)

内容:総則・物権の予定が総則しか扱えていなかった(物権は最後駆け足で扱い、試験範囲から外された)。錯誤、虚偽表示、心裡留保、代理など各トピックについて毎回民法起草時点からの学説史の講義が展開されるので、レジュメは明治時代のカナ混じりの擬古文のようなもので埋め尽くされていて可読性が低い。我妻栄、梅謙次郎、富井政章、星野英一川島武宣、末弘厳太郎あたりの名前を耳にタコができるほど聞くことになる。

学び:講義に出ず予備校テキストと直前の学説史詰め込みだけで単位をとったので何も学べていない。

 

○刑法第1部(4単位) by sekせんせ

モチベ:刑法は刑事ドラマのような身近さ、少々突飛な判例などが面白くて好きだった(が、講義は半分ほど出ていなかった)。自分の関心が法解釈学よりは思想哲学・抽象論の方に寄っているので、履修中ずっと結果無価値と行為無価値(哲学で言う帰結主義と義務論)どちらをとるべきなのか考えていた気がする。

内容:広く浅く初学者に優しい標準的な講義だった。かなり頻繁に判例集を参照していたので判例の勉強が少し大変だった。

学び:標準的な講義で予備校テキスト中心に単位をとったので何も学べていない。私の高校の先輩に偉大な刑法学者が数人いるらしい(身バレにつながるので名前は挙げないが)というのが講義とは関係ないが印象に残っている。
sekせんせの講義とは関係ないが、hgcせんせから学んでいる学年は特に過失犯についてかなりラディカルな独自説を学んでいたらしいので聞いてみたかった。

 

政治学(4単位) by ktuせんせ

モチベ:当時は法曹を志望していて政治学を真面目にやる気がなかった(ことを政治コースにいる今では後悔している)。

内容:今見返すと、ゲーム理論、権力論、政党、選挙制度、投票行動、議会、官僚制、福祉国家実証主義などなど網羅的かつ必要十分な内容が扱われていた。

学び:当時20歳で頭が足らず価値をわかっていなかった講義筆頭。ここを真面目にやっていればのちの日本政治や行政学などの理解が深まっていたはずだった。自分の関心の「人間の自由意志」あたりと絡む話なのでルークスの三次元的権力観の話だけは印象に残って覚えている。試験の形式上トピックを選択できたので、前半だけ一夜漬けして単位をとった気がする。時間がある時この講義は学び直したい。

 

○ゼミ(英米刑事法、法教育)(各2単位)

詳しく書いて万が一教員の目に止まると身バレにつながるので詳しくは書きません。ゼミは備忘録に残さずともある程度自分の中に記憶として残っていますし。

英米刑事法ゼミでは英語で法学をやることの難しさを学び、法教育ゼミではロー生や高校生との交流が楽しかったです。

 

○民基礎(2単位)

弁護士の実務家教員から習うこと、法学部図書館で抜粋でない全文の判例を借りて読んだことなどが新鮮だった。ロースクールで行われているいわゆる「ソクラテスメソッド」がとられていた。ソクラテスは絶対に事前に当てる回を教えてくれたりはしない。内容は総則・物権の事例問題なので復習だった。Law Practiceを持っていると便利。

 

○日本政治(4単位) by skiyせんせ

モチベ:かなり面白かった。現代日本の政治に関心がある人は全員受けるべき講義であったように思う。政治のドロドロした部分について結構ぶっちゃけた話をしてくれたのが興味深かった。せんせのご専門の有権者の投票行動の部分も興味深かった。

内容:戦後の日本政治史を自民党55年体制を中心に扱っていた。第一部で安保闘争までの保革イデオロギー対立の時代、第二部で80年代までの55年体制における利益配分をめぐる対立の時代、第三部で90年代以降の制度改革をめぐる対立の時代、として記述がされた。政治史以外にも政党システム論や有権者の投票行動の実証分析も扱われた。

学び:なぜ日本で一党優位体制が安定しているのか。その歴史的経緯がわかり現代日本の政治の現在に至るまでの流れがわかったように思う。「立憲主義的な考えの日本人より非立憲主義的な考えの日本人の方が多い」というskiyせんせの研究結果は立憲主義を自明のものと考えていた身としては衝撃的で印象に残っている。skiyせんせの著書も積読しているので近々読まなければと思っている。

 

○日本政治外交史(4単位) by iokbせんせ

モチベ:なかった。日本史に興味なくて高校で日本史を履修していなかったのにひたすら日本史の講義だったから。試験前勉強してみると、中学で学んだ日本史や高校で学んだ世界史に違った角度から光を当てていて興味深くはあった。高校で日本史をやっていない人には暗記量が多すぎて履修をおすすめしにくい。

内容:鎖国と開国の時代から大戦に至るまでの日本と周辺諸国(中国、朝鮮、ロシアなど)の関係を踏まえた日本政治史

学び:他の試験でバタバタし勉強時間がとれずあまり勉強できなかった。放送大学のiokbせんせが書いているテキストにコンパクトにまとまっている。講義で「なるほど〜」と思った内容が調べてみると高校日本史の教科書に載っている内容だったりして日本史の勉強の必要性を感じた。

 

行政法第1部(4単位) by ttmせんせ

モチベ:あまりなかった。公務員試験でやるからと最初は意気込んでいたが、講学上の概念が多く登場したりして、実務に直結する部分は少ないなと感じモチベが途中からダダ下がりした。実定法アレルギーで政治コースに行ったのになぜとった。

内容:おおかた標準的な行政法総論・組織法・作用法の講義であったように思う。そのまま売れるような200ページに及ぶ丁寧なレジュメがあり非常に親切だった。試験が一つの判例一点特化だったのは不満だが。

学び:40ページ3万字程度のまとめを作って勉強したのにあまり身になっていない。標準的な講義ではあったものの、資格試験テキストとは異なる説明がされている箇所やttmせんせ独自の分類を行っている箇所がままあり、その部分がやや苦労した。行政法判例は、行政主体も「よかれ」と思ってやっているのに訴訟になっている案件が多いのが個人的には面白いと思った。